跡見群芳譜(野草譜ヤエムグラ)

やえむぐら (八重葎)　

学名　Galium spurium var. echinospermon (G.aparine var.echinospermon, G.pauciflorum)

日本名　ヤエムグラ

科名(日本名) 　アカネ科

　日本語別名　クンショウバナ、クンショウグサ、トリグサ、クチキリ、ウズラ、スネカキ、イゲハコベ、マンキンタン

漢名　拉拉藤(ﾛｳﾛｳﾄｳ,lālāténg)　

科名(漢名) 　茜草(ｾﾝｿｳ,qiàncăo)科

　漢語別名　猪殃殃(ﾁｮｵｳｵｳ,zhūyāngyāng)

英名　Bedstraw

2006/05/05　神代植物公園

2008/04/29　神代植物公園

2006/05/29　新座市中野

辨	Galium spurium には、YListによれば次のような種内分類群がある。　　　　ヤエムグラ var. echinospermon(f.strigosum, G.aparine f.strigosum, 　　　　　　　　　G.aparine var.echinospermum, G.aparine var.tenerum, G.tenerum; 　　　　　　　　　猪殃殃･拉拉藤･八仙草) 　　　　トゲナシヤエムグラ var. spurium(G.aparine var.leiospermum, ;光果拉拉藤) 　　　　　　　　　歐亞産　北海道･関東などに帰化　IPNIによれば、上記の二植物は G. spurium subsp. spurium に包摂し、変種を区別しない。
	ヤエムグラ属 Galium(拉拉藤 lālāténg 屬)は、世界に約400-630種がある。　　シラホシムグラ G. aparine(原拉拉藤) 　　G. asperifolium (楔葉葎･粗葉拉拉藤･鋸鋸藤) 四川･貴州･雲南･チベット･ヒマラヤ･インド産　　　　var. sikkimense (小葉葎) 兩湖･廣西･四川･貴州･雲南･チベット･ヒマラヤ･インド産　　G. asperuloides(車葉葎) 黒龍江･華北･陝甘･華東･兩湖･四川･貴州･雲南･ヒマラヤ産　　　　var. hoffmeisteri (六葉葎) 同上　　G. boreale 　　　　ヒロハキヌタソウ var. amurense 　　　　シベリアキヌタソウ var. boreale(北方拉拉藤･砧草) 『中国本草図録』Ⅳ/1860 　　　　　　　　　遼寧･吉林･黑龍江･内蒙古･華北･西北･四川･貴州･雲南･チベットから　　　　　　　　　北半球の温帯･亜寒帯に産　　　　エゾキヌタソウ var. kamtschaticum(var.koreanum, var.ciliatum;堪察加拉拉藤) 　　　　　　　　　北海道･千島･樺太･カムチャツカ産　　　　ホクセンキヌタソウ var. lanceolatum(var.leiocarpum, subsp.ussuriense, 　　　　　　　　　G.physocarpum, G.ussuriense) 　　トウヨツバムグラ G. bungei (四葉葎･四葉草･四角金･蛇舌癀)『中国本草図録』Ⅹ/4856 　　　　　　　　　遼寧･吉林･黑龍江･華北･西北･華東･兩湖･兩廣･四川･貴州･雲南･臺灣産『全国中草葯匯編』下/193 　　ダフリアムグラ G. davuricum(大葉猪殃殃) 　　　　　　　　　朝鮮･遼寧･吉林･黑龍江･内蒙古･河北･新疆･ダフリア･シベリア産　　コメツブヤエムグラ(ヒメヤエムグラ) G. divaricatum 　　タイワンクルマムグラ G. echinocarpum(刺果猪殃殃･臺灣拉拉藤) 臺灣産　　G. elegans (小紅參･西南拉拉藤) 臺灣･安徽･浙江･湖南･廣西･四川･貴州･雲南･　　　　　　　　　･チベット･ヒマラヤ･ミャンマー･タイ･ジャワ･フィリピン産　　ニイタカムグラ G. formosense(G.kwanzanense) 　　ノウコウムグラ G. fukuyamae 　　ニイタカムグラ G. formosense 　　ヒメヨツバムグラ(コバノヨツバムグラ) G. gracilense(G.bungei var.angustifolium, 　　　　　　　　　G.musyaense;狹葉四葉葎･細四葉葎･小鋸鋸藤) 　　　　　　　　　北海道･本州･四国･九州･朝鮮･華北･陝甘･山東･華東･兩湖･廣西･四川･貴州･雲南産　　　　リュウキュウヨツバムグラ var. lutchuense(G. lutchuense, 　　　　　　　　　G.miltorrhizum var.lutchuense) 　　クルマムグラ G. japonicum(G.trifloriforme var.nipponicum) 北海道･本州･四国･九州･朝鮮産　　　　ホソバノクルマムグラ f. stenophyllum 　　G. kamtschaticum 　　　　オオバノヨツバムグラ var. acutifolium 北海道･本州･四国･千島･樺太産　　　　エゾノヨツバムグラ var. kamtschaticum(三脈猪殃殃) 　　　　　　　　　北海道･本州中北部･朝鮮･吉林･黑龍江･極東ロシア･北米産　　　　　　ケラシエゾノヨツバムグラ f. intermedium 　　　　ヤクシマムグラ var. minus(var.yakusimense) 屋久島産　　キクムグラ G. kikumugura 　　キヌタソウ G. kinuta(顯脈拉拉藤) 　　チョウセンヤマムグラ G. koreanum 　　イトムグラ G. linearifolium (綫葉拉拉藤) 朝鮮･遼寧･河北･湖北産　　エゾムグラ G. manshuricum(G.davuricum var.manshuricum;東北猪殃殃) 　　　　　　　　　北海道･朝鮮北部･遼寧･吉林･黑龍江･ウスリー産『中国本草図録』Ⅶ/3342 　　クルマバモドキ G. maximowiczii(異葉輪草) 遼寧･吉林･黑龍江･内蒙古･華北･陝西･山東･安徽･浙江産　　セイスイムグラ G. minutissimum(微小拉拉藤) 臺灣産　　　トゲナシムグラ G. mollugo 　　モリムグラ G. morii(森氏猪殃殃) 臺灣産　　ミヤマキヌタソウ G. nakaii 国後島･北海道･本州東北産　　ナンコムグラ G. nankotaizanum(G.maborasense;南湖大山猪殃殃) 臺灣産　　ヤブムグラ G. niewerthii(東北猪殃殃) 　　クルマバソウ G. odoratum(Asperula odorata;車軸草) 　　G. paradoxum(Pseudogalium paradoxum;林猪殃殃) 朝鮮･遼寧･吉林･黑龍江･華北･西北･　　　　　　　　　安徽･浙江･兩湖･四川･貴州･雲南･･ヒマラヤ･極東ロシア･イルクーツク･歐洲ロシア産　　　　ミヤマムグラ subsp. franchetianum(Pseudogalium paradoxum subsp.franchetianum) 　　　　　　　　　北海道･本州･四国･九州産　　キヌタモドキ G. platygalium(Asperula platygalium;卵葉輪草) 　　　　　　　　　朝鮮･吉林･黒龍江･ロシア沿海地方産　　　ヤマムグラ G. pogonanthum(G.bungei var.setuliflorum;毛冠四葉葎) 　　　　オオヤマムグラ var. trichopetalum 　　　　ヤクシマヤマムグラ var. yakumontanum 　　オオバノヤエムグラ G. pseudoasprellum(G.davuricum var.lasiocarpum;山猪殃殃) 　　　　　　　　　北海道･本州･四国･九州･朝鮮･ウスリー･遼寧･吉林･黑龍江･華北･陝甘･青海･　　　　　　　　　･江蘇･浙江･湖北･四川･貴州･雲南産　　　　ビンゴムグラ var. bingoense 　　ウスユキムグラ G. shikokianum(Asperula trifuida) 本州関東南部以西･四国･九州産　　G. spurium (鋸鋸藤･猪殃殃) 　　　　ヤエムグラ var. echinospermon(f.strigosum, G.aparine var.tenerum, 　　　　　　　　　　　G.pauciflorum, G.aparine f.strigosum, G.aparine var.echinospermum, 　　　　　　　　　G.vaillantii;猪殃殃･拉拉藤･八仙草) 　　　　トゲナシヤエムグラ var. spurium(G.aparine var.leiospermum;光果拉拉藤) 　　タイワンヨツバムグラ G. taiwanense(臺灣猪殃殃) 臺灣産　　カタサゴムグラ G. takasagomontanum(山地拉拉藤) 臺灣産　　タロコヨツバムグラ G. tarokoense(太魯閣猪殃殃) 臺灣産　　ハナムグラ G. tokyoense(G.davuricum var.tokyoense;鈍葉拉拉藤) 　　ヨツバムグラ G. trachyspermum(G.bungei var.trachyspermum;闊葉四葉葎) 　　　　　　　　　北海道･本州･四国･九州･朝鮮･河北･陝西･山東･華東･兩湖･兩廣･四川･貴州･雲南産　　　　ケヨツバムグラ f. hispidum(var.hispidum, G.bungei var.hispidum) 　　　　ケナシヨツバムグラ var. miltiorrhizum(G.trachyspermum var.nudicarpum) 　　G. tricorne(麥仁珠)『中国雑草原色図鑑』218 　　ミナトムグラ G. tricornutum 　　G. trifidum 　　　　ホソバノヨツバムグラ subsp. columbianum(var.brevipedunculatum, G.baicalense) 　　　　イトヨツバムグラ subsp. trifidum(小葉猪殃殃) 朝鮮･遼寧･吉林･黑龍江･華北･内蒙古･　　　　　　　　　･華東･湖南･兩廣･四川･貴州･雲南･臺灣から北半球温帯に産　　オククルマムグラ G. trifloriforme(擬三花拉拉藤) 　　ヤツガタケムグラ G. triflorum(三花拉拉藤) 北海道･八ヶ岳･吉林･黒龍江から北半球温帯に産　　　　　　　　　絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020) 　　イボミヤエムグラ G. verrucosum 　　カワラマツバ(広義)　G. verum (蓬子菜) 『中国本草図録』Ⅳ/1861・『中国雑草原色図鑑』217 　　　　キバナカワラマツバ subsp. asiaticum(G.verum var.asiaticum;蓬子菜) 　　　　　　var. asiaticum 　　　　　　　　キバナカワラマツバ(狭義) f. luteolum 　　　　　　　　カワラマツバ f. lacteum(G.verum var.asiaticum f.nikkoense, 　　　　　　　　　G.verum var.lacteum, G.verum var.nikkoense, G.ruthenicum 　　　　　　エゾノカワラマツバ var. trachycarpum 　　　　　　　　　(G.verum var.trachycarpum f.intermedium) 　　　　　　　　チョウセンカワラマツバ f. album 　　　　　　　　シナノカワラマツバ f. shinanense 　　G. yunnanensis(滇拉拉藤) 雲南産
	アカネ科 Rubiaceae(茜草 qiàncăo 科)については、アカネ科を見よ。
訓	漢名猪殃殃(ﾁｮｵｳｵｳ,zhūyāngyāng)は、ブタが食えば病におちいることから(『全国中草葯匯編』)。　英名 bedstraw は、ヤエムグラ属の通称。
説	北海道･本州･四国･九州･琉球･臺灣･華東･兩廣･兩湖･華北･遼寧･吉林･黑龍江･西北･四川･貴州･雲南･チベットから、広く歐亞･アフリカの温帯･暖温帯に分布。
誌	中国では、全草を薬用にする。　　『全国中草葯匯編』上/798　『(修訂) 中葯志』IV/605-610
誌	日本では、王朝時代から、人手を離れた廃園にはびこる雑草として、八重葎は荒涼とした風景の小道具として扱われている。たとえば、　　　八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり　　　　　 (恵慶法師,『拾遺和歌集』『小倉百人一首』) 　しかし、この古い時代の八重葎は植物としてはカナムグラであったという。

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